良薬は口に苦し 良書は心に甘し

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葉桜の日 鷺沢萠

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葉桜の日
posted with amazlet at 12.06.28
鷺沢 萠
新潮社
売り上げランキング: 444380

二篇の物語で構成された小説である。
二つの物語の共通点は、本名で呼ばれることのない男が
主人公であること。

『葉桜の日』では、賢祐はみんなからジョージと呼ばれ、
『果実の舟を川に流して』では、健次はケンケンと呼ばれている。
これが、単なる愛称やニックネーム類であれば問題にも
ならなかったし、気にも留めなかった。
しかし、二人の主人公にはそれぞれ事情があるのだ。

ジョージは、自分の出生に関する記憶も事情もわからず、
気がついたらジョージと呼ばれていた。
そして、ケンケンは母の死をきっかけに過去の記憶も、
過去の自分すらも手放しケンケンとして生きていく。

それは、仕方ないことと割り切れれば良いが、
そんな簡単に割り切れるものではない。
自己のアイデンティティが不確実であることは、
自己の不安定さ、人生の不透明さを際立たせる。

まるで、水の檻のようだ。水の檻のように見えそうで見えない、
抜けられそうで抜けられないもののように思えてならない。
抗えないことも、彼らは重々承知しているから、
それとうまく付き合おうとしているのかもしれない。






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