良薬は口に苦し 良書は心に甘し

読書ブログです。小説あり、エッセイあり、児童書や絵本、詩・写真・漫画など、ジャンルレスに紹介しています。

翳りゆく時間 浅田次郎選

翳りゆく時間(とき) (新潮文庫)
浅田 次郎
新潮社
売り上げランキング: 258908

翳りゆくという言葉が日本人の心をくすぐるのだろうな。
耽美的で、どこか魅惑的な響きがあり、
そこには誰にも言えないような秘密が含まれている。

それは、墓場まで持っていくほどの重大なものもあれば、
他人からみると些末なものに見えてしまうものまで
さまざまである。
でも、本人たちにしてみたら、すごく大切なことで、
他人にどう思われているかということがすごく気になってしまう。
ましてや、自分の意に反して暴露してしまうことに対しては
異常なほどの恐れを感じてしまう。

考えてみたら、自分自身もそうだなって思ってしまう。
暴露する前は、嫌われたらどうしよう、変な目で見られたら
どうしようと怯えていたりする。
でも、告白された相手からしてみるとたいしたことではなかったりして、
後になってからなんであんなに怯えていたんだろうって、時間が経つと
自分でも不思議に思ってしまうくらいなのだ。

翳りというものには、もしかしたら時を止めてしまうような
魔法があるのかもしれない。
そして、それはもしかしたら自分自身がそうなることを
望んでしていることなのかもしれない。
無意識の意識が自身にはたらきかけることによって起こる
魔法なのかもしれない・・・。

そんな翳りゆく時間を7人の作家がそれぞれ描き出しています。
どのお話も良いのですが、浅田次郎の「マダムの咽仏」、
山田詠美の「天国の右の手」が胸に沁みるお話で好きでしたね。

マダムの咽仏は読んでいて美輪明宏さんを彷彿としてしまいました。
モデルがいるかどうかはわからないですが、こんな一世一代の
嘘というのをついてみるのも、ある意味素敵なことなのかなって
思いながら読んでいました。

そして、天国の右の手は一歩間違えるとグロテスクな人間の欲望の
お話なのに、山田詠美さんが手をかけることによってかくもうつくしき
物語になるんだなって感嘆しながら読んでしまいました。

これは、男女の恋愛なのか?欲望の行きつく先なのか?
はたまた、新しい愛の形なのか?
考えても答えが出ないことを考えてしまいがちですが、
そんな思考も放棄して読んでいくと、ある瞬間からすべてが好ましく、
心地よく感じられるようになります。

最後に登場する、三島由紀夫の「煙草」。
はじめ、どうしてこの作品が組み入れられいるのかがわからなかったのですが、
もしかしたらこれはオマージュ的な作品だったのかなと思ってしまいました。
三島由紀夫へのオマージュであり、翳りの象徴である・・・そんな気がしました。
(これはただの直感で、何の確認もしてはいないんですけどね)

翳りというのは言い換えれば、その人の魅力なのかもしれないですね。
だから、人はそこに憧れ続けるのでしょうね。






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