良薬は口に苦し 良書は心に甘し

読書ブログです。小説あり、エッセイあり、児童書や絵本、詩・写真・漫画など、ジャンルレスに紹介しています。

つめたいよるに 江國香織

つめたいよるに (新潮文庫)
江國 香織
新潮社
売り上げランキング: 6,973

しっとりとした夜の冷気が肌に触れる。
境界線が曖昧で、善悪が不透明で、
どこまでも希薄で…。

言葉にするのが難しいのだが、冷たいのに
心地よい感じ。
非日常的なのにすんなり受け入れてしまう感じに
似ている。

大切な犬が死んだことを悲しむ少女を描いた『デューク』。
母親が幽霊の草之丞と話をする姿を見てしまう
『草之丞の話』。
少年時夫とおばあさんトキの出会いから別れまでを
描いた『鬼ばばあ』。

21の物語が収められた短篇集『つめたいよるに』は、
するりと読めてしまう。
しかし、読みやすさとは裏腹に心に深く深く刻み込まれるのだ。
初期の江國作品にも関わらず、今手にしても色褪せることは
なく鮮やかで軽やかなリズム感を奏でる。

死や幽霊の話についてもそうだ。
おどろおどろしさもなければ、戦慄めいた色彩もない。
読んでいて感じたのは、生死というものは、魂と肉体で厳密に
分けられるものではないということ。
共有した時間や積み重なった記憶の分量に比例するのかも
しれない。

死しても、なお伝えたいものがある。
会いたい人がいる。
それは、もう何ものにも代え難い至上の喜びではないだろうか。

人は愛した記憶と愛された記憶で生きている。
それが、記憶ではなく現実の出来事として起きるのだとしたら…。
普段では巡らすことのない思案をしてしまう。
非日常的な物語の数々が胸にじわっと沁みこんでくるのです。






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