良薬は口に苦し 良書は心に甘し

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喋々喃々 小川糸

喋々喃々 (ポプラ文庫)
小川 糸
ポプラ社 (2011-04-06)
売り上げランキング: 105100

おいしいものをたらふく食べたい。
しかも、大好きな人と一緒に食べるのがいい。
早朝のおそば、土産のうなぎ、宿のすきやき…。

変わり映えのない日常の中で、大好きな人との食事は
彩りを添える。
何気ない生活に一輪の花を飾る。
当たり前の景色にパッと輝くような美しさが添えられる
ような感じなのだ。

東京の下町情景が残る谷中でアンティークのきものの店
『ひめまつ屋』をやりくりする店主の栞(しおり)。
季節の移り変わりを楽しみながら、ゆったりとした時間を
過ごしている。

開店前にぶらっと散歩したり、ご近所さんとの交流があったり、
ちょっと早めにお店を閉めちゃったり、こういう時間の流れ方
って昭和の時代を思い出してしまう。

たしかに、未だに谷中周辺の谷根千(谷中・根津・千駄木)
と呼ばれている地域はお店が閉まる時間が早かったり、
お正月とかもきちんとお休みを取っていたりとしていて、
そこが潔くて気持ち良いと思ってしまうくらいなのだ。

行ったことがある場所だけに、情景もありありと思い描けて
しまう。
町並みも、住んでる人の雰囲気も、そして昔ながらの人付き合いも
いいな~と思わせる。

ときどきお店に立ち寄っては手土産のお菓子を置いていくまどかさん。
心配しつつ世話を焼いてくれる気っ風の良いイッセイさん。
魅力的な登場人物だけだけでも十分なのに、そこに食べ物の香り、
恋の香り、和の香りが入り混じる。

ある日、ひめまつ屋に訪れた春一郎さんに栞は恋をしてしまう。
家庭をもっていることを知りつつ、踏み入れてはいけないことを
わかりつつも、徐々に惹かれてしまう。
そして、気持ちは抑えきれなくなってしまう…。

春一郎さんと栞だけではなく、家族との食事、イッセイさんとの
デートでの食事など、至る所でおいしい食べ物の香りが漂ってくる。
しかも、この物語で出てくる食べ物は実在するお店で出されている
ものだから、その情景もさることながら、実際にそこに足を運びたい
という衝動に駆られてしまう。

滋味豊かな味わいは、体の隅々に栄養を届ける。
その栄養は、共有する人と同質なもの。おいしいものを大好きな人と
食べる。

大好きな人と大好きな場所で時間をともにすることが、
日々のささやかな喜びにつながるへとつながる。
人生って切なくて、どうしようもないことがたくさんある。
でも、こうやって日々の変化を味わい、おいしいものを好きな人と
食べるだけで救われるような気がする。
こぼれ落ちそうな何かを、少しでもこぼさないようにする術、
たったひとつの方法なのではないだろうか。






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