良薬は口に苦し 良書は心に甘し

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それからはスープのことばかり考えて暮らした 吉田篤弘

それからはスープのことばかり考えて暮らした
吉田 篤弘
暮しの手帖社
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はじめにサンドイッチが食べたくなり、次にスープが飲み
たくなってしまう。

おいしい料理というものは、言葉からだけでもおいしさを
発してしまう。
まるで、本から湯気が立ち込めて匂いや音が辺り一面に
充満しているかのように錯覚してしまうのだ。

ハム・きゅうり・たまご・じゃがいものサラダのサンドイッチ。
えんどう豆、かぼちゃ、名なしのスープ…。

次から次へと料理が出てきて、みんながおいしそうに食べていく。
それを見ていると、こんな料理食べてみたい、この物語の主人公
になりたいとすら思ってしまう。

主人公の大里こと、オーリィ君は失業中の身である。
仕事を辞め、引っ越しをして新しい町で生活を始める。

といっても…オーリィ君は真剣に仕事を探している様子は
まったくない。
暇があれば映画館に足を運び、噂に聞いたお店を見つけ、
そこのサンドイッチに惚れてしまい足繁く通ったり…。

オーリィ君の生活は、時間が止まったかのように同じことを
繰り返す。
そこに他者が干渉することで、はじめて現実世界での時間が
回り始めるのだ。

サンドイッチ屋「トロワ」の店主・安藤さんと息子のリツ君。
映画館で何度も会うあおいさん。
大家のマダム。
登場するのは、ごく限られた人たちだけだ。

ゆるやかな日常に、ささやかな干渉が加わる。それは、劇的な
変化は生まないが、わずかな変化を生じさせるのには充分なの
である。

だから、物語の展開は予測できてしまう。
でも、その予定調和な世界が良いのだ。

当たり前のことが当たり前のように起きる。
特別なことは何もない。

オーリィ君は、毎日サンドイッチを食べ、毎日スープのこと
ばかり考えて暮らす。
他人から見ると、いつもぼんやりしていて、迂闊だと指摘されて
しまう。

でも、そんな人生もあるのだと思う。
そんな風にしあわせになることもありなんだと思えてしまうのだ。

最後に「名なしのスープのつくり方」が載っていて、それを見て
またくすりと笑えてしまう。
やはり、ゆるすぎる物語なのだ。
こういうの大好きだなぁ。





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