良薬は口に苦し 良書は心に甘し

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ニシノユキヒコの恋と冒険 川上弘美

ニシノユキヒコの恋と冒険
川上 弘美
新潮社
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ニシノユキヒコという男は何者なのだろうか。
幻影のように、蜃気楼のようにたゆたうことで生き長らえていたの
だろうか。
それとも、命をつなぐかすがいは女たちであったのだろうか。

数々の疑問が残る。
どれも解消も解決もされはしないのに、この男のことが気になって
しょうがなくなる。

この物語は、ニシノユキヒコと付き合った女性たちの視点から彼の恋
と性癖と、そして人生を描いた作品である。

女性たちと書いたように、ここには複数の女性が登場する。
彼と関係をもった女たちが、彼と何があったかを語っていくのだ。
夏美、しおり、カノコ、マナミ、例、昴、エリ子、サユリ、愛、のぞみ…。
少年から大人になるまでニシノユキヒコが関わった女性たちだ。

時期が違うこともあるが、明らかに同時期に付き合っていた人もいる。
彼はいわゆる、プレイボーイというやつなんだろうな。

しかも、ここで出てきた女性は氷山の一角に過ぎない。
数え切れないほどの女性遍歴があるに違いないのだ。

彼の言葉の一部を抜粋してみると…。

「僕と結婚しようよ」
「愛してるよ」
「ねえ、僕といっしょに死のう」

結婚と愛という言葉は何度も繰り返し使われるフレーズである。
これだけ見ると、どうしようもない男だなと思ってしまうだろう。
けれど、ことニシノユキヒコに関しては不思議とその嫌悪感を
抱かない。

その理由が、冒頭に挙げた幻影のような、蜃気楼のような不確かな
存在感なのではないかと思ってしまうのだ。
それは、最初の物語での幻想的なはじまり方からも想像できてしまう。

いつの間にか現れて、気づいたら消えてしまう幻のような存在。
だから、恋人たちは添い遂げることができなかったのではないだろうか。
どんなに愛していても、ふとした瞬間に耐えられない恐怖に捕らわれて
しまうのではないだろうか。

どこに終着するかわからないから、人は恐れおののくのだ。
愛しすぎてしまうからこそニシノユキヒコは重い足枷になり、その恐怖
から女たちは逃げてしまう…。

だから、彼女たちにとってユキヒコは忘れられない人でもある。
忘れられない大切な人として、彼女たちの胸の中に棲み続ける。
有無を言わせない圧倒的な存在として君臨し続けるのだ。

誰かにとって忘れられない存在になるということは、とても難しいこと
である。
なろうと思ってなれるものではない。
そんな数々の女性を魅了したニシノユキヒコ…。
やはり、気になってしまうではないか。

『ニシノユキヒコの恋と冒険』を読んでいたら、佐野洋子さんの
『100万回生きたねこ』という絵本を思い出してしまいましたね。
ユキヒコとねこがリンクしてしまったなぁ。
結果的にはしあわせだったということか…。






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