良薬は口に苦し 良書は心に甘し

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なんて遠い海 谷村志穂

なんて遠い海 (集英社文庫)

なんて遠い海なんだろう。
荒涼とした果てのない海をただ茫然としながら眺めているような感覚に捕らわれる。


見つめていたら、いつの間にか波に浚われてしまう。
それは、寂しいという感覚すら通り越してしまうほどの絶望と空虚感で満たされている。

嵐の真ん中にいるときは気づかない。
激しい雨も、なぶるような風も、そのときは気づかないんだ。

心にポッカリ穴が開いていることを思い出すのはすべてが終わった後だ。
何もかもが幕を引き、もうあの頃には戻ることができないと知ったとき、はじめて失ったものの大きさに気づくのだ。

絵を描かない画学生と平凡な女の恋を描いた『暗がりのローランサン美術館』。
たった10分のインタビューがきっかけで電話交わすようなったインタビュアーと指揮者の関係を描いた『最終公演、ワーグナー』。
家族で行った茅ヶ崎の海で、大学時代の出来事を思い出してしまう『海に抱かれて』。

それぞれの恋の始まり、愛の終わり、愛の記憶が九つの物語として記されている。

愛された記憶というのは、人生のある一点で輝く栄光のようなものなのかもしれない。
時が経ち、記憶が曖昧になったとしても、愛した記憶だけは生きた証として残ってしまう。

傷ついても、泣いても、悲しんでも…。
愛したことを帳消しにすることはできない。
だからこそ、愛ってやつはどうしようもなく扱いづらい。

上手く対処したように思っても、実は相手からしてみたら、とんでもないことをしでかしていたりすることがよくある。
失敗は付きものなのに、その失敗が重大な喪失へとつながるから恋愛ってやつは厄介なんだ。

決して埋まることのない大きな大きな空洞を抱えて生きることは容易ではない。

果てがなく、どこまでも続いているように見える世界。
だからこのタイトルで装丁に行きつくのであろう。

あぁ、なんて遠い海なんだろうか…。





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