あさきゆめみし1 大和和紀
はじめは朧げに。
次第に鮮やかに蘇ってくる…。
殿上人の華やかで、切ない恋が幕を開ける。
清明で優しき藤壺の宮、固く心を閉ざした葵の上、誇り高き貴婦人である六条御息所、たおやかで慎ましやかな夕顔…。
光源氏の恋の物語は、子どものときには雲の上の華やかな出来事くらいに思っていた。
だから、どこか絵空事の物語を楽しむような感覚で触れていたのだ。
それは、少女漫画を楽しむ感覚に似ていたのかもしれない。
ところが…大人となった今読むと、その世界は一変する。
人間の薄汚い欲望や、恋にはほど遠い憐憫の情、果ては恋に溺れた女の怨嗟まででてくる。
光の君の周りには、常に艶やかな花のような女人たちが舞っている。
けれども、その女人はひとりとて同じものはいない。
それにも関わらず、光源氏は次々と女たちを虜にしていくのだ。
あぁ、なんだか素直に彼を応援することができない。
光も影もあり、炎と氷を使い分け、弓矢と楯を自在に操る帝の皇子。
あらぬことか、同じ男として嫉妬の念が湧いてくるではないか…。
完全に光の君に翻弄されてしまっている。
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