あさきゆめみし3 大和和紀
匂い立つ光の君の美しさは変わらない。
しかし、確実に月日を重ね、年を重ねてきた。
息子の夕霧は元服し、光源氏も太政大臣の地位に上りつめ、隆盛を極めて何も不満などないように思えるのだが、そうではない。
紫の上がいても、明石の君がいても、決して心が満たされることはない。
だからなのか、常に新たな女人を求めてしまう。
男の性なのか。
いや、光源氏という男の宿命なのか…。
これが、若かりし頃の源氏であれば、致し方ないと思えたもの。
けれども、男盛りを過ぎた今となっては、憐れの情すら浮かんでしまう。
他の女人のもとへ通う姿を見ても、葵の上は嘆くことなくお見送りをする。
朝顔の君に結婚を申し込むも断られ、養女の玉鬘に言い寄るも拒まれ…。
若かりし頃のような情熱も勢いも失われてしまったかのように思えてならない。
栄華を極め、誰も彼もが光の君をもてはやすが、そこには安らぎはないのかもしれない。
やはり、藤壺の宮をおいて、彼を慰めることができるものはいないということなのだろうか。
息子である夕霧と対比して見てしまうため、世代交代が間近に迫っているのが垣間見えてしまうのが、また哀しいのだ…。
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